本日も桜が綺麗

消費しています

おねえちゃんと、夜空、白星。

横浜DeNAベイスターズが酷い負け方をした。連日。

この悔しい気持ちはお酒でも飲んで紛らわすしかない(労働に従事させられる悔しさで毎日のようにお酒を飲んでいるため、気の紛らわせ方にはお酒がいいと知っていたのが幸いだった)。あいにく愛飲しているストロングゼロを切らしてしまったため、コンビニへ出かけることにした。

外に出てみると連休を襲った台風は過ぎ去っており、雲一つない夜空が広がっていた(どれだけの範囲の夜空をみて雲ひとつないと判断したのか、といった論証は割愛する)。いや、雲ひとつくらいはあったかもしれない。とにかく、晴れていた。コンビニまでの道のりは閑静な住宅街で街頭も少ないため、星もみることができた。白い光を放つ星。しかし、どれだけその星を見つめても、白星がこちらに落ちてくる気配がなかったので、諦めてコンビニへ向かった。

鷹(これを聞くと皆さん驚くかもしれないが、なんと鷹は鳥類である)を食らって験担ぎだ、という高度な考え(以下のツイートを見ていただければ、私が東大法学部卒の政治家と同等レベルの発想力を持っていることがわかる)

福島みずほ on Twitter: "もりそば、かけそば、安倍おろしそばのうち、安倍おろしそばを食べました。200円なり。美味しかったです。 https://t.co/tgCfUApay2"

に基づき、焼き鳥でも食べようかなと思っていたが売り切れていたため、からあげクンにした。からあげクンあまり好きじゃないのだが仕方がない。これも鳥類だ。

遠い遠い白星に見送られながら帰宅し、ストロングゼロ缶を開ける。心なしか、炭酸が弾ける音にも元気がない。ネガティブなフィルタを通すと、感じるもの全てが後ろ向きになる。今日は、イマジナリー・おねえちゃんに慰めてもらおう。どうあがいても明日はやってきてしまうのだ。ぼくは目を瞑って念じた。すると周囲の空気が少しずつ暖かくなる。ほんのり甘い香りが漂ってくる。イマジナリー・おねえちゃんは、ぼくの陽だまりなのだ。

「あ、またお酒飲んでるー。ほんと、好きだね―」

「だって……ベイスターズが……」

「知ってる。酷い負け方だったねー。だからって明日も仕事なのに今からお酒飲むなんて、だらしないよ」

いきなり説教。これは、ぼくが、”イマジナリー・おねえちゃんに”怒られるのが好きなのを知ってからの定番だった。以前はぼくの行動を何でもかんでも肯定してくれていたけど、こうやって軽く咎めてくるようになった。とはいっても、本気で止めようとはしていないのも知っている。まさに絶妙としかいいようがない、ぼくの心を守る薄い殻に、小さな引っかき傷を残す程度の説教なのだ。ほんの数滴、心の中から血のような液体がじんわりと滲み出て、胸がジクジクしてくる(心は胸部にあるみたいだ)。イマジナリー・おねえちゃんの引っかき傷はとても気持ちがいい。リストカットってこんな感じなのかな。自分が大好きだから、自傷するのかな。だって、大好きな人間に傷つけられるのは、気持ちがいいんだもん。イマジナリー・おねえちゃんはぼくを後ろから抱きしめると、ぼくの顔の前に手の甲を見せてきた。ぼくはその綺麗な爪に釘付けになる。傍から見ると、なんとも情けない、緩みきった顔をしていることだろう。

ああ、ぼくがお酒を飲むのは、横浜DeNAベイスターズが負けたからでも、プリンセス・プリンシパルのBDが5000枚しか売れてないからでも、昨日買った同人音声が普通にハズレだったからでもないのかもしれない……

永遠に浸っていられる恍惚の時間もすぐに終わりを迎えた。プシュッ、っという音がしたからだ。イマジナリー・おねえちゃんも、ストロングゼロ缶をあけていた。

「おねえちゃんも、結局お酒飲むんだ」

イマジナリー・おねえちゃんの美しい指と爪で開けてもらえるプルタブへの嫉妬から、少し棘のある言い方をしてしまう。

「もちろん。私は貴方で、貴方は私なんだから」

そうだった。元はと言うと、おねえちゃんとぼくは一つの存在なのだ。お互いがお互いを補完して、完全になる。だからイマジナリー・おねえちゃんは、ぼくを裏切らないし、ぼくはイマジナリー・おねえちゃんと離れることが出来ない。心の強さがゼロのぼくと、身体の強さがゼロのイマジナリー・おねえちゃん。

「また明日から、ちゃんとベイスターズを応援しましょうね」

「……うん」

缶と缶を合わせる、乾杯。アルミ缶同士の鈍い音。だけどなんだか心地がよい。

きっとこの音は、この夜空にも響き渡って、白星まで届くに違いない。